確定申告の用紙・売上や経費の計算の方法について

確定申告の用紙

確定申告では「用紙がたくさんあって、どれを使ったら良いのかわからない」という質問がよくあります。
国税庁のHPはわかりにくいですし、税務署へ行っても用紙が色々ありすぎて、まずどうしたらよいかわからなくなってしまう場合が、よーく見受けられます。
ここでは、どの用紙が必要なのかをまとめてみましょう。

確定申告では、内容に応じて、提出しないといけなければならない用紙が違ってきます。
まず、必ず記入が必要なのは申告書です。
しかし、これも「申告書A」と「申告書B」とあるため、最初に迷うところになります。
そこで、覚えておいて欲しいのは
個人事業主(自営業・一人親方etcの事業者)は、「申告書B」です!

申告書Aは、申告する所得の内容が「給与所得(サラリーマンの給料など)」「雑所得(年金や原稿料、副収入など)」「配当所得(株式の配当など)」「一時所得(保険の満期収入など)」の4つのどれかに該当する人へ向けたもので、いわゆる個人事業主はこっちではないのです。ちなみに、申告書Aも申告書Bも両方とも「第一表」「第ニ表」で構成されています。

他に必要な用紙は、申告する内容に応じて違ってきます。
ざっくりというと、
「前の年に儲かったか損をしたか」「しっかり経理してる(=青色)かそうじゃない(=白色)か」で違ってきます。

※青色と白色については、こちらのページで詳しく解説してます。▼



個人事業主のための組み合わせは、例を挙げるとこのようになります。

  • ・申告書B+青色申告決算書(一般用)
    →個人事業主が「青色申告」を選択している場合で「利益が出ている(=儲かっている)」場合
  • ・申告書B+第4表+青色申告決算書(一般用)
    →個人事業主が「青色申告」を選択している場合で「損失が出ている(=損している)」場合
  • ・申告書B+収支内訳書(一般用)
    →個人事業主が「白色申告」を選択している場合

また、この他に「消費税等の確定申告書」が、消費税が課税される場合には必要です。これも2種類あって

  • 付表2:「原則課税」にしている場合
  • 付表5:「簡易課税」にしている場合

となります。

申告書B作成の流れ

個人事業主で、確定申告のための書類を作成するおおまかな流れは、次のようになります。
(1)1月1日から12月31日までの売上高や各経費の合計額を集計する。
(2)白色申告の人は「収支内訳書」、青色申告の人は「青色申告決算書」を作成する。
(3)確定申告書の「第一表」「第ニ表」を作成する。
この3つの中で、最も重要な作業は(1)の売上や経費の集計です。
(1)の数値がすべての基本になりますので、間違ってしまうと、(2)や(3)を正しく行っても税金が間違ってきます。
税務調査の際も、(1)が正しいかどうかが調べられます。
なのでここでは、(1)の部分を詳しく、わかりやすく、解説します。

売上や各経費の集計

確定申告の第一歩は「正確な売上の算出」です。
売上計上漏れは「うっかり忘れていました」が通じません。
売上の漏れを税務調査で指摘されると言い逃れができず、罰金が付くことにもなりかねませんから、しっかり行いましょう。
現金でもらった売上金、預金口座に入金された売上金、手形で回収した売上金などなど。
それらを全て漏れなく集計してください。

売上の計上時期

実際の税務調査の現場では売上の「時期ずれ」が頻繁に指摘されます。
それでは売上はいつ計上するのが正しいのでしょうか?
サービス業ならば「サービスを提供したとき」です。
逆に言うと作業が完了する前に先に入金してもらう場合は「前受金」となります。
売上の計上は入金日ではなく、「作業完了日」であることを忘れないでください。

「家事消費」と「本業以外の収入」も注意!
「家事消費」とは、自分が提供するサービスを、自分のために行ったり、知り合いに無料で行ったりすることです。
このような「家事消費」については、「自分への販売」つまり「家事消費による収入」として計上しなければいけません。
計上する金額は「そのサービスの販売価格の70%」のいずれか大きい金額で売上を計上することになります。
これをしないと計上漏れになりますので、要注意です。


「本業以外の収入」とは?

これは具体的な例を挙げます。

  • ・作業くずを売却したお金
  • ・空箱を売却したお金
  • ・得意先からのリベートや紹介料
  • ・従業員への貸付金の利息
  • ・従業員の寮の家賃収入
  • ・損害賠償金や火災保険金

など。
このような収入があった場合、これも漏れなく記載しましょう。

<まとめ>売上の集計

  1. 売上の計上漏れがないか(現金回収、預金回収、手形回収)
  2. 売上の計上の時期が適切か
  3. 家事消費をした売上が抜けていないか
  4. 本業以外の売上(廃材や空箱、リベートなど)が抜けていないか

経費

「経費」は、仕入や人件費・家賃・交際費・消耗品費などなど、たくさんあります。
経費の集計で重要なことは

  • ・漏れなく多すぎずに集計すること
  • ・経費になるものだけ集計すること

に注意が必要です!
また、青色でも白色でも税務署は領収書があるものだけしか経費として認めません。
経費とするためには、領収書等の明確な書類を必ず保存しておいてください。

漏れなく多すぎずに集計する注意点

  • ・期間に注意!
    →1月1日~12月31日までの間に支払った金額を集計する
  • ・これは含まれる?
    →支払っていない(売掛金・未払金など)ものでも、「既に商品が納品済またはサービスを既に受けたもの」は経費!
  • ・これは含まれない?
    →支払済み(前渡金・前払費用など)でも、「まだ商品が納品されていないまたはサービスの提供を受けていないもの」は経費からはずす!
  • ・仕入や外注費は?
    →計上済みの売上に対応する金額だけが経費!

経費になるものだけ集計する注意点

「売上を上げるために直接必要だったもの」だけが経費になりますが、納税者と税務署での意見はよく食い違います。
実際の税務調査でも来る調査官によって言うことが違うことがありますし、「経費でない」と言われても税理士が戦えば経費に認められるようなこともよくあります。
そこで、絶対に認められないクロの経費の例をあげてみます。

  • ・自宅で事業を行っているときの家賃や電気代など
    →全額を経費に入れることは認められていません

事業用と家事用の床面積の割合や、その他合理的な割合で按分しなければなりません。水道代・ガス代・火災保険料・固定資産税・修繕費・電話代、また事業用兼プライベートの自動車のガソリン代も同様です。
減価償却費については、のちほど詳しくご説明します。

  • ・生命保険の保険料・所得税の納付額・住民税の納付額・源泉所得税の納付額・国民健康保険料・国民年金・病院代
    →経費には入りません

経費の計上

  1. 仕入
    経費になるもののは「売上に対応する売上原価」になります。
    仕入れた金額がそのまま全額経費とはなりませんので注意してください。
    売上原価とは「今年に売れた売上に対応する仕入の原価」の金額です。
    具体的には「1月1日の在庫の金額」に「年中で支払った仕入の金額(掛を含む)」を足して「12月31日の在庫の金額」を引くことで求まります。
    この「1月1日の在庫金額」「仕入の金額」「12月31日の在庫金額」を確定申告書にはどう書くかについては、のちほどご説明します。
    まず売上原価がいくらになるかを集計してください。
  2. 給料賃金・外注工賃

    「給料賃金」になるのか「外注工賃」になるのかは、どちらになるかで税務上の処理が大きく異なるので注意しましょう。
    外注工賃は、消費税を8%を乗せて支払っていると考えます。
    給料賃金には、もちろん消費税がかかりません。
    ということは、「給料賃金」ではなく「外注工賃」になると、自分が納めなければならない消費税は減ります。
    しかし、だからといって、人への支払いを全て外注工賃にすることはできません。
    外注工賃になる条件として一般的な要件は、

    • ・指揮命令系統が事業者にはない
    • ・請求書がある
    • ・会社で仕事のための備品等を支給しない
      例)会社にデスクがあったり、パソコンが与えられたりするのは従業員になります。
    • ・タイムカードがない
      例)請求書にも「時給」等の記載があった場合には従業員になります。
    • ・通勤手当がない

    などが挙げられます。
    税務調査では実態が調査されますので、少なくとも上の要件がすべて満たされていないようでは、外注にはできません。

  3. 減価償却費
    「減価償却」の考え方は難しいので、ここでは大まかな説明に致します。
    確定申告の正確な記入のためには、税務署に直接、電話でも大丈夫ですので聞いてみましょう。
    もちろん電話も、窓口での相談も無料です。
    ただし、大まかなことがわかっていないと、その質問も難しいため、ここでの説明は理解しておきましょう。
    減価償却のイメージ(定額法)
    たとえば事業用に200万円の車を買ったとしましょう。
    車は通常1年間ではなく、数年間乗りますよね。
    仮に4年間車を使ったとすると、この車は4年間の利益に貢献したということです。
    会計の世界では「費用」と「収益」は期間対応させるのが原則です。
    となれば200万円は1年目に全額経費に落とすのではなく、4年間にわたって経費に落とさないと「費用」と「収益」の期間が対応しないことになります。
    そこで200万円を4年間に均等に配分して、各年度で50万円ずつ経費に落とそうということになります。
    これが「減価償却」の考え方です。
    耐用年数
    先ほどの例では4年間としましたが、実は何年使うかというのは法律で細かく決まっています。
    この「耐用年数」が、税務署に直接確認するポイントになります。
    法律で決まっている耐用年数は、必ずしも実情とピッタリではありませんので、そこは仕方ないと思ってください。
    計算の仕方
    実は、計算方法は4つもパターンがあります。
    そこで、ポイントは「平成19年4月1日より前か後か」です。
    確認したい車やパソコンなどの資産が、平成19年4月1日以前か以後かで分けておくだけで、ずっと楽になります。
    そこだけは確認して、税務署に相談しましょう。
    減価償却の対象となるのは?
    経費にならず、減価償却にしなければいけない資産は、例えば建物や車やパソコンやコピー機のように年数が経過するにつれて価値が減少する資産です。
    パソコンのソフトウェアなど実物のないものも減価償却の対象になります。金額は、白色申告の人なら10万円以上、青色申告の人なら30万円以上が対象です。
    (平成27年12月現在)
    逆に言うと、白色申告ならば10万円未満なら、青色申告ならば30万円未満なら、経費として計上されます。
    やはりここでも青色申告が有利になるように設定されています。
    中古の減価償却
    中古で買った場合、普通に考えて新品より使用できる期間は短くなりますよね。
    そこで税法でも中古で買った場合は耐用年数を短くすることを認めており、計算式があります。
    資産について、中古で購入したか、新品で購入したかをはっきりわけて、税務署に相談しましょう。
    事業用と自宅用が兼ねられている場合の減価償却
    一つの資産を事業用にもプライベート用にも使用している場合はどのように計算すれば良いのでしょうか。
    このような場合は合理的な基準を設けて事業用とプライベート用に按分して、事業用の部分だけを経費に落とすようにしましょう。
    「合理的な基準」とは、たとえば建物の減価償却費ならば業務用とプライベートの床面積の比率などです。
    車なら走行距離などが目安になります。ここは調査のポイントになりますので、しっかり示せるようにまとめておきましょう。
    定率法って?
    毎年一定の割合で減価償却させる方法ですが、ちょっとややこしいのでここでは説明しません。
    「定率法」を使いたい場合には、事前に税務署に届出を提出しなければ採用できませんので、詳しく質問するまたは税理士さんとの顧問契約することをお勧めします。
  4. 貸倒損失

    貸倒損失というのは売掛金や貸付金、前渡金などが貸し倒れたときに計上する費用です。
    ただし税法で貸倒れと認められるためには一定の条件を満たさないといけません。
    実務的な判断基準としては

    • ・会社更生法の規定で更生計画認可の決定があり債権が切り捨てられた場合
    • ・民事再生法の規定で更生計画認可の決定があり債権が切り捨てられた場合
    • ・債権者集会の協議の決定があり債権が切り捨てられた場合
    • ・債務免除を書面で通知した場合

    などがあります。
    重要なのは、しばらくの間入金がないからと言って、貸倒損失に計上することはできないことです。
    貸倒損失は税務調査で多くの場合確認される箇所であるため、それを証明する書類は必ず保存しておいてください。
    貸倒損失を計上する前には、税務署に確認してから処理するようにすることを強くお勧めします。

  5. 地代家賃
    地代家賃というのは月ぎめ駐車場代金や店舗家賃、事務所家賃などのことです。
    地代家賃で注意が必要な点は事務所兼自宅として賃貸マンションなどを使っている場合です。この場合も、床面積などの具体的な根拠に基づいて、按分をするようにしてください。
    また家賃を年払いして、翌年以降も継続して年払いをするときは、1年分を全額経費に入れても良いことになっています。
  6. 利子割引料
    利子割引料とは「事業用借入金の利子」や「手形の割引料」が該当します。
  7. 租税公課

    租税公課とは税金や印紙代などのことです。
    経費になる税金は次のようなものです。

    • ・事業税
    • ・固定資産税(事業用部分とプライベート部分の面積按分が必要)
    • ・自動車税(事業用部分とプライベート部分の面積按分が必要)
    • ・税込経理のときの消費税
    • ・印紙税

    などが該当します。

    逆に経費にならない租税公課としては次のようなものがあります。

    • ・所得税
    • ・住民税

    この分類に注意して集計してください。

  8. 荷造運賃
    荷造運賃とは商品などのことです。
  9. 水道光熱費
    水道光熱費とは水道代、電気代、ガス代、灯油代などの費用のことです。水道光熱費の注意点も地代家賃の場合と同じく、事務所兼自宅の物件の取り扱いです。
    基本的には地代家賃の按分の基準と同じ基準で按分することが望ましいです。
    また明らかに水道やガスを事業として必要としないような業種は、水道代やガス代そのものを経費に入れることができません。
  10. 旅費交通費
    旅費交通費とは電車代や新幹線代、タクシー代などの移動関係の経費です。
    旅費交通費のうち電車代、バス代などは領収書がありません。
    経費は基本的に領収書が必要なのですが、領収書がもらえない旅費交通費は例外中の例外として領収書なしでも経費にできます。
    ですが、「いつ」「何が目的で」の交通費だったのかについては、別に記録しておくべきです。
    またプリペイドカードやデポジットカードを領収書代わりに保存しておくこともお勧めです。
  11. 通信費
    通信費とは電話代や切手代、郵送代、電報代などを言います。
    最近はネットのプロバイダー代金や、メール配信スタンドの代金なども通信費に該当します。
    通信費も事業用とプライベート用の按分が重要になりますので注意してください。
  12. 広告宣伝費
    広告宣伝費とは求人広告を雑誌に出したり、インターネットのPPC広告代などを出したりした金額を集計するものです。
    広告宣伝費のポイントは「掲載された日に経費に落ちる」ということです。
    たとえば12月に1月発売の雑誌への広告代を支払った場合、まだ雑誌が発売されていませんので経費に落ちません。
    前払費用となって翌年の経費になるのです。
    あくまで経費とは売り上げに結びついたものですので、注意してください。
  13. 交際費
    接待交際費とは接待のための飲食代や、得意先の慶弔禍福に伴うお祝いや香典、お中元やお歳暮などのことです。
    経費の基本は「売上を上げるために必要なものであると、認められるもの」です。
    接待交際費は税務署が一番目をつけている箇所ですので、厳しく判断するようにしたほうがよいでしょう。
  14. 損害保険料
    損害保険料とは建物などの火災保険や社用車の自動車保険、商品の損害保険などが該当します。
    注意すべき点は、事業用とプライベートが混在してしまう経費です。
    これらの保険も、例にもれずやはり按分をするようにしてください。
    また保険料は年払いであれば、1年分を全額経費に入れることが可能ですが、数年分を一括で支払っている場合には申告する年にかかる部分だけを経費にいれるようにしてください。
  15. 修繕費
    修繕費の注意点は「原状回復に必要なものか否か」です。
    判断に迷う場合は税務署に問い合わせてみてください。
  16. 消耗品費
    消耗品費とは文具代やコピー用紙、トイレットペーパーなどいわゆる「消耗品」が該当します。
    消耗品費の注意点は「10万円、又は30万円を超える資産が入っていないか?」です。
    白色申告ならば10万円未満なら、青色申告ならば30万円未満なら、消耗品費として経費として計上されます。
  17. 福利厚生費
    福利厚生費とは従業員さんへの福利厚生のための費用です。
    しかし、一人で事業を行っている個人事業主のスポーツジム代などは「限りなくクロに近いグレー」です。税務調査で指摘される可能性が高く、「実質はプライベート費用とどう違うのか」が説明できないからです。
    他には会社が負担すべき健康保険料などの社会保険もここに入ります。
  18. 雑費
    雑費とは今までの区分に該当しなかった「その他もろもろの諸経費」とお考えください。具体的には銀行での振込手数料や、ゴミの回収費用などが該当します。
  19. その他の経費
    ここまでの経費は確定申告書の「収支内訳書」という書類に最初から印字されている経費です。
    これ以外にも「収支内訳書」は経費を記入する欄があります。基本的には「規定の経費に区分ができないもの」で、「金額が大きいもの」です。

最後にもう一度復習です

経費について重要なことは「漏れなく多すぎずに集計すること」「経費になるものだけ集計すること」の2点です。
この2つのポイントが間違っていると税金の金額が変わるため、税務署も厳しくみます。
しっかり注意して経費を計上しましょう。
※各地域の商工会等でも申告相談等実施している所も多いので、上手く利用される事をお勧め致します。